FREA総合パンフレット
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16地中熱利用システムは、もともと世界オイルショックを契機として1980年代から欧米諸国で広まった技術です。技術的には新しいものではないものの、日本においては2000年頃までほとんど知られていなかったことや、大都市における地下水の汲み上げ規制などの理由により、その普及が遅れています。日本における地中熱利用では、地下水の存在が熱交換量に大きく影響するため、地下水の水位や流量の把握が重要です。地中熱チーム地中熱ポテンシャル評価とシステム最適化技術 地中熱を利用するには、地下の地質や地下水流動の状態を知ることが大切です。そのため、当チームでは、ボーリング(掘削)による地質調査や深度別の地下水温度の調査、広域地下水流動熱輸送シミュレーションなどを行い、地域の地下環境に応じた地中熱の利用可能性(地中熱ポテンシャル)を調べる研究を行っています。 そして、様々な地下環境に応じた地中熱利用方法を開発する研究も行っています。FREAの地中熱利用システム実証試験場では、浅部・深部の地下を利用する2種類の熱交換器を組み合わせた実験を行っています。また、同様のシステムを茨城県つくば市の産総研・地質標本館にも導入しており、地質や地下水の流れの異なる地域での採熱量・最適な運転方法の違いを調べています。 主に以下の研究開発テーマに取り組んでいます。●地中熱ポテンシャル評価の研究 地中熱利用の対象となる地下数m~100m付近には、地下水が豊富に存在している地域が多く、その流動性に応じた地中熱の利用が有効と考えられます。当チームでは、適切な地中熱利用の普及促進のため、地質・地下水環境や地下熱環境について、産総研・地質調査総合センターと協力し、調査・研究を行っています。また、現地調査や数値解析による地中熱のポテンシャル評価手法の開発を進めています。 当チームでは、一般的なエアコンや融雪システムよりも高効率(高いCOP)、省エネルギーである地中熱利用システムの普及促進に向けた研究を行っています。地下水流動・地質特性に応じたシステムの高性能化・低コスト化を目指しています。 地中熱利用には、地下に埋設した管に不凍液や水を循環させて熱交換するクローズドループと、地下水を汲み上げて熱交換するオープンループの2種類があります。日本においては、いずれの場合も地下水の存在が熱交換量に大きく影響するため、地下水の水位や流量の把握が重要です。また、地下水を考慮した日本式の地中熱研究は、東南アジア諸国に対しても大きく役立ちます。このため、当チームでは、地域の地質や地下水流動の特性に適応した地中熱システムの開発を目指して、以下の研究目標に取り組んでいます。●地中熱ポテンシャルマップ作成に必要な現地データ収集・概 要モデルの構築●地中熱システムの最適化技術の概念設計●東南アジアにおける地中熱研究の展開 等※COP: Coecient of Performance(成績係数)の略研究目標研究内容地中熱利用システムの概要地中熱利用のためのポテンシャル評価技術地下水を考慮した地中熱ポテンシャルマップは世界初・産総研発のアイディアです。より用地低コスト化慮き下て、以地中で省エネ 地中で省エネ 夏季冬季寒い熱熱暑い暖房・融雪ヒートポンプ(昇温)抽熱地層・地下水(熱源)冷房・冷却ヒートポンプ(冷却)地層・地下水(蓄熱)放熱暖冷涼!暖!ヒートポンプヒートポンプ熱冷熱熱ヒートポンプヒートポンプ熱冷

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