再生エネルギー研究センターパンフレット
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①津軽平野の地中熱ポテンシャル評価 熱応答試験(TRT)結果を組み入れた地下水流動・熱輸送モデル【図1】を構築し、流動解析結果とTRT結果を基に有効熱伝導率の分布を推定するとともに、有効熱伝導率と地下温度分布図をGISで重ね合わせ、全く新しいポテンシャルマップ(暖房利用)【図2】を作成しました。既存の観測井データとTRT結果を組み合わせて(産総研オリジナル技術)、少数の観測井でも高精度のマップが作成可能になりました。14図2 新しいポテンシャルマップ主な研究成果主な研究設備FREA地中熱利用システム実証試験場深度1〜2mの地下に設置するシート型熱交換器とスリンキー型熱交換器および深さ約40mの鉛直型(ボアホール型)の熱交換器を利用した地中熱システムです。タイ・チュラロンコン大学に設置したGSHPシステムタイ・チュラロンコン大学の施設を利用して、バンコクでも地中熱システムによる冷房運転の可能性を実証しました。※GSHP: Ground Source Heat Pump(地中熱ヒートポンプ)の略②会津盆地の水理地質構造の解明 福島大学との共同研究を通じて、福島県会津地域における第四紀地質構造解析と水理構造(地下温度構造など)解析を行い、地中熱ポテンシャル評価の基盤データを構築しました。③自噴井を利用したクローズドループ地中熱ヒートポンプ冷暖房システムの性能評価 被災地企業のシーズ支援プログラムを活用して、日本地下水開発(株)との共同研究により、自噴井を利用した地中熱システムを構築しました。システムを高度化させ、自噴を井戸内温度によって制御するシステムを構築しました。本共同研究では、井戸内温度連続観測および井戸内微流速測定により、冷暖房時における井戸内の温度挙動と自噴湧出メカニズムを把握しました。運転方法にもよりますが、冷房運転ではCOP7以上、暖房運転ではCOP5以上を確認しました。図1 津軽平野3次元地下水流動・熱輸送モデル●地中熱利用最適化技術開発 浅層(深度1~2m)と深層(深度~100m程度)の地下を効率的に活用できる地中熱利用システムの運転方法最適化評価や水文地質を活用したより効率的な熱交換器の開発を行っています。FREA地中熱実験圃場および茨城県つくば市の産総研・地質標本館では、様々なタイプの水平型熱交換器と従来の熱交換器を組み合わせた地中熱利用システムを導入し、水文地質環境の異なる地域での運転方法や効率の違いについて、長期計測や数値シミュレーションを用いて検討・評価しています。また、リアルタイム稼働状況のモニタ表示や熱交換井部分の「見える化」により、地中熱利用システムの普及促進を目指します。

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