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企業の声:アサヒ電子株式会社

取材日:2015年2月16日

被災地企業のシーズ支援事業インタビュー

アサヒ電子株式会社
代表取締役社長 菅野 寿夫様
技術課 湯浅様

担当スタッフ:再生可能エネルギー研究センター
エネルギーネットワークチーム
テクニカルスタッフ 蛇石 宰

再生可能エネルギー関連ビジネスの拡大

シーズ支援プログラムをどのようにして知りましたか?

アサヒ電子株式会社:
弊社は、太陽光のモニタリングシステムを2011年からやっているんですが、その際、産総研さんのつくばの方に色々ご相談に行ったことがきっかけで、その後福島県に産総研さんが来るときに県の職員の方からも産総研さんの担当者の方を紹介していただきました。その頃から色々とコミュニケーションさせて頂いていて、シーズ支援プログラムがあるのだが、実際に弊社の製品も申請してみたらどうかというお話を頂いたのがきっかけなんです。

応募することでどういうメリットがあるとお考えでしたか?

アサヒ電子株式会社:
弊社の商品はすでに新聞発表を含め公表してましたが、シーズ支援プログラムで採択されることによって、販路、販売の拡大に繋がるのではないかと考えたものですから、それは是非、利用させて頂きたいと言う想いで申請させて頂きました。

採択決定後に、プレス発表等はありましたか?

アサヒ電子株式会社:
「REIFふくしま1」の展示会で発表したり、実際に拡大販売をしていく中で、産総研さんの評価を最大限に活用させて頂いております。ホームページ上で「評価をして頂きました」と掲載したり、プレゼン資料の中で「採択していただきました!」と大きく出したりしています。

※1 REIFふくしま:福島県及び公益財団法人 福島県産業振興センター主催のイベント「ふくしま復興再生可能エネルギー産業フェア」

再生可能エネルギーの分野で産総研と一緒にやることで何か変わりましたか?

アサヒ電子株式会社:
「REIFふくしま」の時にも発表させて頂いたんですが、ずいぶん変わりました!

実は、弊社は、平成25年度の一次公募の時には、不採択だったんです。一次の時には、自分たちがこういうニーズはあるだろうと、自分たちで考え想定して作った製品でした、後で気がついたんですが、良くマーケットを見てなかったんですね。不採択になった場合、通常、不採択の通知だけ、もしくは、採点評価で終わりなんですが、シーズ支援プログラムの場合は、研究者とのマッチングというか、アサインをして頂けたんです。何回か訪問させて頂いた中で、色んな情報を頂いて、それを製品開発にフィードバックして二次募集応募で採択して頂いたんです。

東日本大震災の復興に関して、御社で取り組んでいることはありますか?

アサヒ電子株式会社:
3.11以降、福島だからこそ『再エネの関連の製品はやって行かなくてはいけない』という、使命感はあります。 福島県は原発に依存しない、中央の電力に依存しないと言っていますので、我々太陽光以外の分野でも、マイクログリッド2ではないんですが、最低限地域分散型、もしくは、地域や自分たちで電力を作り出して、必要最低限の電力を作るようなコンセプトモデルみたいなものを発信していくべきだと思っています。

※2 マイクログリッド:太陽光発電、風力発電、地熱・地中熱発電、バイオマス発電など比較的小規模・複数の発電設備や蓄電設備を地域内に作ってインテリジェントに連携させ、その電力需要を賄おうという構想。広域の送配電網を介して遠く離れた少数の大規模発電設備から電力供給する従来システムの対極をなす。

発電量回復デバイスNeoale®

このプログラムを受けられてどういったことが良かったですか?

アサヒ電子株式会社:
細かいところは様々あるんですが、一言で言うと、産総研さんとお付き合いさせて頂くことができたということが一番大きかったです。実際に開発したことを相談に乗って頂けますし、技術的なフォローもありますし、シーズ支援プログラムというお墨付きを頂いたということもあります。

我々のような中小企業が産総研さんとお付き合いできるというのは正直言って、ないことですし、産総研さんの名前に、二の足を踏んでしまうというのがほとんどなんです。 つくばの産総研さんに行けたのも、オープンラボをやっていてその時が初めてなんです。

それもなかったら、どこを頼ったらいいのかもわからないという状況で、産総研さんが福島に来て、色んな講演などにお誘い頂き、こんなにも身近に活用していいのかと思えたのは、すごく大きな収穫でしたね。

プログラムの中で太陽光パネルの実証実験を行いましたが、採択前には他でやっていたのでしょうか?

アサヒ電子株式会社:
あれだけ大きい太陽光発電システムに取り付けたのは初めてですね。今まで拡大販売をしている中で実験の問い合わせもあったんですけどなかなか話が進みませんでした。産総研さんがこういう評価をして、結果がこんな風に出たんで、と言って初めて、「あっそうなの?」と耳を傾けてくれて、製品に対する信頼性とか、その技術に対してお客様の注目度が上がり、製品に対しても信頼して頂けるようになったんです。

そういう意味でも我々中小企業にとって、シーズ支援というのは大きな収穫になったと言えますね。

 

他の企業さんにも参考になるかと思うんですが、応募をするときに困ったことはありますか?

アサヒ電子株式会社:
すでに支援プログラムの前からお付き合いさせて頂いたということと、前から県の担当者さんからのご紹介で、研究者の方と色々お話をさせて頂いていたので、困ったことはなかったんですが、確かにお付き合いもない中で、応募をするとしたら二の足を踏むということはあったと思います。実際に2015年1月末にENEX3という展示会でも福島県の出身企業が「実はうちもシーズ支援プログラムに応募しようかどうか考えているんだ」という言葉もきこえました。まあ普通に考えれば二の足を踏んでしまいますよね。誰かが、こういうプログラムがあるんだけど応募してみないか?といってコーディネートしてあげれば、応募する企業さんも、もっともっと参加しやすいのかなと思いますね。

※3 ENEX:一般財団法人 省エネルギーセンター主催のイベント「地球環境とエネルギーの調和展」

FREAの研究者の方々の印象はいかがですか?

アサヒ電子株式会社(湯浅様):
一緒に評価事業を行っていく中で、情報交換が良くできていて、とても良い事業だったという印象です。以前は、大学の先生さま!という印象があったんですけれども……

国レベルの研究機関と関わってみた感想はいかがですか?

アサヒ電子株式会社(湯浅様):
最初は、どういうところなんだろうというのはありました。弊社としても機器を開発していく中で試験は行いますが、それを第三者目線で産総研さんと一緒に評価していくということで、やはり機器自体の信頼性というか、品質の向上と、個人個人の技術的な知識が上がるという意味でも、こういう事業に参加出来てとても良かったなと思いますね。

アサヒ電子株式会社(菅野様):
フレンドリーお付き合いをさせて頂いたというところが大きいので、話しにくかったとかそういうことはなかったですね。また次の応募もさせて頂いてます。

シーズ支援プログラムに関して担当者から詳しく説明はありましたか?

アサヒ電子株式会社:
応募するにあたって、担当者の方とお話ししたときに、充分に詳しく説明していただきました。元々、シーズ支援なので、開発支援ではないということはわかっていました。そういう面では県が、補助金を付けて開発費を支援し、出来たものを産総研さんが支援し、お墨付きを頂くというか、評価して頂くという住み分けが出来ているというのは、良い仕組みだと思います。

今後、シーズ支援プログラムを事業の発展にどう役立てようと考えていますか?

アサヒ電子株式会社:
やはり拡大販売と製品開発ですね。産総研さんのシーズ支援プログラムという形でお墨付きを頂いたというのは、地方の中小企業にとっては、大手の企業と戦っていける武器を与えて頂けたと思っています。

私どもは、太陽光のモニタリングというシステムなんですが、国内、海外も含めて結構あります。その中で差別化をしていく際にも、産総研さんの存在というのはは大きな役割を果たしてくれます。

NECさんの広報にもNEC製通信チップを採用している事例として採用して頂いたんですが、それも産総研さんの採択のお蔭だと思っています。

製品開発についてですが、シーズ支援では、太陽光だけのお話だったんですが、そこから再生可能エネルギー全体に広げて行きたいと思っています。担当者の方といろいろお話をしていると、人を紹介して頂いたり、貴重な情報源にもなって頂けるので我々の再生可能エネルギー関連ビジネスを進めるにいたっては、本当にいろんな意味で直接的にも間接的にも助けて頂いています。

ハードルが高いと感じていらっしゃる他の企業さんに何かアドバイスはありますか?

アサヒ電子株式会社:
産総研の方と知り合う機会は、正直今まで中々なかったと思うんですよ。

ただ、やっぱり福島に来ていただいたというのは、一つのきっかけですし、福島県にある企業というのは、最大限に活用しない手はないと思いますね。自分の持ってる要素技術が実は、どういう風に使えるのか分からない企業さんも多々あると思うんです。そういう企業さんも、何の気なしにでもいいので、こんな技術があるんだけれども、と相談に行かれた方がいいと思いますね。

国立研究開発法人 産業技術総合研究所